クロスロード(1/9)で株式会社 渓水の社長「菅野敬一」さんの特集を放送しました。
菅野さんが手がけるエアロコンセプトの鞄がすごく評判です!
デザインの美しさにあいまって加工技術の高さが感じられる一品です。
ですが、ここにたどり着くまでには、会社倒産という大きな試練も乗り越えてきました。
目次
*超精密金属鞄「エアロコンセプト・AERO CONCEPT」がすごい!!
エアロコンセプトは菅野敬一さん(精密鈑金加工職人)が作る、
ジュラルミン+本革の鞄のブランド名です。
鞄の他に、名刺ケースやメガネケースなども作っています。
特徴は革とジュラルミンの素材だけではなく、外周に穴が空いているデザインです。
この穴、嫌がおうでも目を引きます。(^_^)
引用元はこちらです。
何でも、自社(=株式会社渓水)で作っている、航空機関連パーツの技術を応用して開発したといいます。
航空機の部品は、成るべく軽くする必要があります。
そのため、部材にはアルミまたはジュラルミンを使用します。
そして強度に関係無いところは、穴をあけてさらに軽量化を図ります。
その、技術を応用して鞄を作りました。
航空機関連部品特有のジュラルミン素材と穴が特徴の鞄が、評判になり海外からもオファーが殺到していました。
◇エアロコンセプトの海外のファン
・クリスティー・ターリントン
・ジョージ・クルーニー
・ロバート・デ・ニーロ
・ユマ・サーマン
・クリスティー・ターリントン
・アルベール二世現モナコ国王
・アブダビ王族
などそうそうたる名前が挙がっています。
*超精密加工5/100mm以下が鍵でした。
番組中で、アルミ加工の話を紹介していました。
アルミは航空機の内装部品として多く使われています。
アルミですが、そのままでは強度が持ちません。
なので、パーツを2つ組み合わせて使うことが多いそうです。
アルミ板をコの字に曲げた部品を2つ用意します。
そのアルミ板を組み合わせて、筒状にします。
そうする事により、強度が飛躍的に増します。
ですが、この方法には一つ問題がありました。
それは、工作精度が極限まで求められることです。
二つのアルミを合わせたとき、隙間が少しでもあると駄目だそうです。
アルミ板ですが、長さがある物を同じ角度で曲げるのが至難の業です。
ここに職人の腕が求められました。
その精度ですが、5/100mm以下の精度を求めていました!!
5/100mmでも、ぎりぎりの精度だそうです。
そして、このアルミ板にも、穴空け加工がされています。
穴空け加工がされたアルミ板を、90度に寸分なく曲げて、誤差5/100mm以下で組上げる!
なんか書いているだけでもすごさが伝わってきます。(*^^)
株式会社渓水の職人さんは、それをなんなくこなしていました。
すご腕がそろっていますね。
この工作精度が、鞄作りにもいかされています。
*3代目を継いだとたんに会社が倒産しました。
菅野敬一さんの会社ですが敬一さんで3代目です。
その3代目として「菅野製作所」を引継ぎました。
時は、バブルがはじける寸前の頃の話です。
そして、バブルがはじけます。
当時の「菅野製作所」は、倒産しました。
その時の負債額は約5億円!!
敬一さんは、自殺を考えたとクロスロードの番組中で心境を吐露していました。
ですが、雇っていた職員さんと自分の家族(奥さんと娘さん2人)の事を考えると、死ねなかった!と語ります。
その敬一さんを助けてくれたのが、当時数%しか取引がなかった、航空機関連部品を扱っている会社でした。
そこの会社から、注文数を増やすから会社を辞めないでくれ!とたのまれたそうです。
アルミ加工の技術を高く買ってくれていました。
また、他の取引先からも応援の意味も込めて前にも増して発注してくれます。
そして8人の職人さん全員も辞めなかったといいます。
それが立ち直るきっかけになりました。
腕のいい職人が残ってくれました。
なので、現在の復活につながりました。
*エアロコンセプト誕生!
エアロコンセプトの第一号作品は、自分用に作った図面入れでした。
完全に個人用で作製しました。
個人用ですので、これを販売する予定はありませんでした。
穴はいつものように、航空機の部品を作る感覚で空けたそうです。
なので、常識では考えられない穴あき鞄を作りました。
取引先にこの鞄を持っていきます。
するとその鞄を付くって欲しい!と言われるようになりました。
それが航空機の素材を使った鞄がある?と噂になります。
なにが幸いするか解りませんね。
クロスロードの番組内で菅野敬一さんは、
倒産しなかったらエアロコンセプトが生まれなかった。
といいます。
また、生きてて良かったとも。
この時、涙が頬を伝わりました。
復活までの言葉に出来ない道のりの険しさが画面をとおして伝わりました。
エアロコンセプトですが現在では、京都(フラッグシップ店)を始め、
東京、神奈川、愛知、兵庫、大阪、UK、台湾、上海、マレーシアにも取り扱い店舗が在ります。
◇AERO CONCEPT京都店
〒605-0088 京都市東山区新門前通大和大路東入西之町223-1
Tel : 075-533-7161
定休日:日、月、火
営業時間:12 : 00 – 19 : 00
店舗の詳しい住所はこちらを参照してください。
→ AERO CONCEPT取扱店一覧
*トヨタやルイ・ヴィトンとの提携を断った!
トヨタやルイ・ヴィトンから提携の話が持ち上がります。
ですが、菅野さんはそれを断りました。
理由は?
「提携となるとどうしても自分のスタイルを崩さなくちゃいけなくなるから。
自分達のよさを殺してまで提携することに、意味を見つけられないんです」
提携は、相手が大きいとどうしても相手のペースになります。
ダブルネームを拒否されたり、仕様の変更を求められたり。
菅野さんにとって、やりたいことが出来なくなるのが一番良くない事だそうです。
◇お客様にもこの思いをぶつけます。
オーダーメイドの鞄を作る注文が来たとき、例えば鞄にキャスターや伸びるハンドルを付けて欲しいとの注文があっても丁寧にお断りするそうです。
理由は、「便利だけど、かっこよくないから」
意地悪をしている訳ではなく、機能美を追求するのなら他社にいくらでも製品があります。
儲かることが解っていてもエアロコンセプトの理想から離れていることはやれないといいます。
*エアロ・スミス ジョー・テリーのギターケースを作製!
クロスロードでは、エアロ・スミス ジョー・テリーさんのギターケースを作製していました。
このギターケースですが、彫刻家の冨森士史(とみもり ひとふみ)さんとのコラボ作品です。
冨森士史さんですが、板金で彫刻を作る方です。
最近では、第89回国展(2015年)に作品を出品しています。
「ジャンヌ・ダルク(In the Storm)」 205×90×160cm
で、彫刻部 会友賞/新海賞を受賞していました。
引用元はこちらです。
冨森士史さんが板金でケースの表の蓋と裏蓋を作ります。
もちろん、穴ぼこだらけです。
形ですが、でこぼこがある楕円のせんべいを金属で作った感じです。
金属部分は、ハンマーでたたき出しで作っています。
なので、ハンマーの跡が無数に残っています。
金属部分は塗装をしていません。
なので、ジュラルミン?独特の鈍い光を放っています。
光の当り具合で、表面のでこぼこが変ったように見えます。
これが、また面白い表情を作っていました。
その蓋を菅野敬一さんが作った枠にはめます。
枠には、はまりましたが蓋と下のケースがピタリと閉まりません。
蓋とケースを繋ぐ蝶番(ちょうつがい)を取り付けた為にひずみが出て閉まらなくなっていました。
そのひずみを、枠に締められている210数本のビスで調整していきます。
調整が進むとじょじょに、閉まる時の音が変ってきます。
鈍い音から、清んだ高い音へ変化して行きます。
締めてはばらしを何回か繰り返し、ようやくピタリと閉まりました。
製作開始から半年が経っていました。
ですが、時間が掛かっただけのことはありました。
その、穴だらけででこぼこのギターケースは、強烈な存在感を放っていました。
おそらくですが、オーナーのジョー・テリーさんも満足されると思いました。(*^^)
*最後に
アルミの超精密加工にはビックリしました。
番組では、アルミを加工する機械の所にぼかしが入っていました。
ここにも、精密加工のノウハウがあるのだろうな?と思いました。
それにしても、会社が倒産しても職人さんが全員残るとは!!
その信頼感が少々、うらやましく感じました。m(__)m
会社概要
株式会社 渓水
代表取締役 菅野敬一
本社:〒143-0016 東京都大田区大森北5-14-9
工場:〒334-0012 埼玉県川口市八幡木3-8-10