軽井沢(碓氷バイパス)のバス事故でギアがニュートラルにはいっていたと判明します。
またブレーキそのものには問題が無いと判明しました。
ギアがニュートラルでなぜ問題なのか?
調べてみました。
目次
*まずギアがニュートラルとはどのような状態か?
最近の乗用車はAT(オートマチック)車が多いので、MT(マニュアルミッション)車の扱いに慣れていない方が多いと思います。
ミッションの変更(=ギアチェンジ)も余り意識しませんね。
ニュートラルとは、エンジンとギアがつながっていない状態をいいます。
これでなにが問題なのか?
下り坂でエンジンブレーキが全く効かなくなります。
*バスのブレーキには3つのブレーキがあります。
バスの速度を落とすには、3つのブレーキを使い分ける必要があります。
3つのブレーキは次のブレーキです。
1.フットブレーキ
2.エンジンブレーキ
3.排気ブレーキ(エンジンブレーキの補助)
1.フットブレーキ
通常使用するブレーキですね。
ですが、坂道で長いことフットブレーキを踏み続けると熱を持ちブレーキが利かなくなります。
このブレーキが効かないことを「フェード現象」と呼ばれています。
なので、フェード現象が起きないようにフットブレーキと合わせて使用するのがエンジンブレーキです。
2.エンジンブレーキ
エンジンはギアを繋いだ状態なら走行の抵抗になります。
(アクセルを踏まない時のことです)
その抵抗を利用してスピードを落とします。
スピードを出したくとも、在る一定以上のスピードが出ないです。
坂道を下るときに特に有効です。
3.排気ブレーキ(エンジンブレーキの補助)
排気菅の一部を閉じることにより、排気圧力(排気抵抗)を増やすことによりエンジンの回転抵抗を増やします。
結果として、スピードの増加を抑制します。
排気圧力が一定以上の圧力になるとバルブの一部が自動で開き、排気菅の消音器へガスを逃がします。
これでエンストを起こさないようにしています。
◇なぜエンジンブレーキと排気ブレーキを兼用するのか?
大型バスやトラックに使われているディーゼルエンジンは、もともとエンジンブレーキが利きにくい構造だそうです。
なので、エンジンブレーキの効き目を補助する為にもうけられています。
通常、排気ブレーキはスイッチ一つで効くそうです。
◇ギアがニュートラルの位置では効き目がありません。
エンジンブレーキも排気ブレーキもギアがニュートラルの位置では効き目がありません。
排気ブレーキのスイッチが入っていてもブレーキ効果が無いです。
*軽井沢の碓氷バイパス、バス転落事故はギアがニュートラルでした。
問題のバスですが、ギアがニュートラルだった事が判明しています。
また、ブレーキに故障がなかったことも判明しています。
エンジンブレーキは、速度が出すぎていると入りません。
ギア比(=回転数)が合わないと減速したくても出来ない状況になります。
なので、今回も速度が出過ぎでギアが入らなかったと思われます。
ちなみに、最近のバスはコンピューター制御でギアをいれるそうです。
速度が合わないとギアが壊れます。
なので、4速や3速の位置にギアが入っていたとしても、車体の速度が合わないとコンピューターが自動に判断してギアの接続をしないそうですよ!
(全てのバスやトラックがこのとおりではございません)
◇なぜ、ギアがニュートラルだったのか?
本当のところは解りません。
ですが推測は出来ます。
道路下に転落する250m手前の防犯カメラにそのヒントがありました。
そのカメラには、S字のカーブを時速約80kmで蛇行しながら下っていくバスの姿が撮影されていました。
赤いブレーキランプは点灯したままです。
フットブレーキは踏んでいたことがこれから解ります。
また、S字のカーブでハンドルを切っていますので意識があったと思われます。
オーバースピードだったので、ギアが入っていなかったのかも知れませんね。
中型バスを長年運転していたと報道されています。
なので、下り坂でエンジンブレーキを効かせなくてはいけないことは知っていたと思います。
なのに、ギアがニュートラルだったのはなぜか?
まさかと思いますが、最新のバスはコンピューター制御でオーバースピード時、ギアが入らないことを知らなかった?ことはないのかと疑ってしまいました。
*最後に
事故をおこしたバスの運転手さんですが、65歳でした。
大型バスの運転がこの事故を起こした日を含めて4日目だったそうです。
大型バスは苦手ですと本人は自己申告していました。
それでも業務命令なら運転しないわけにはいきません。
難しい峠を運行道路に選んだのは運転手です。
運転手の責任が一番大きいのですが、会社の責任も大きいですね。
格安バスが全て悪い訳ではありませんが、私もたまに格安バスを使いますので考えさせられました。m(__)m