油菓子は愛知県蒲郡市に伝わる伝統菓子です。もちの木はその油菓子の世界で唯一の専門店です。昔は各家庭で作られていた郷土のお菓子なのですが、最近はめっきり作られなくなりました。今はおもに雛菓子として食べられています。その味を守るのは若い美人店長さんでした。訪問記と味の感想です。
目次
油菓子とは?
愛知県蒲郡市の一部(西部の形原地区)で食べられている郷土のお菓子です。
小麦粉に砂糖・卵を混ぜ練った生地を油であげます。硬いドーナツを思い浮かべますが、形がドーナツとは違います。
今回訪問した「もちの木」の揚げ菓子は、結構固く皿に落とすとカツン!と乾いた音がします。
ですが、この堅さもお店により違うそうですよ!
いまでは、どちらかといえば柔らかめの油菓子が増えたとNetの記事で読みました。
知る人が少なくなった家庭の味
昔は、各家庭でおやつ代わりに作られていたとか。なので、各家庭で味が違うそうです。
残念なことに、いまでは蒲郡市でも知っている方が少なくなっているとききます。
いまでは主に、ひな祭りの時に振舞われています。
ひな祭りのお供え物として油菓子をつくるそうです。
そして、お雛様を見物にきたお客様に振舞っています。
油菓子の起源は?
その起源は200年以上前まで遡ります。
保存性に優れていることから、漁師の保存食としても食べられていました。近年では一斗缶につめて漁に出たといわれています。
さすがに、現代ではあまり油菓子をもって漁に出る習慣もないとおもわれます。
世界で唯一の油菓子専門店「もちの木」
蒲郡市竹谷町にその油菓子専門店があります。
名前は「もちの木」
広い敷地にぽつんと佇むその専門店は、なんだかおとぎ話に出てくる小さなお家を連想させました。
店の中に入って又ビックリ!なんとカウンターが一つだけの本当に小さなお店です。入り口を入ってすぐにカウンターがあります。入り口からカウンターまでの距離約100cm!!
そのカウンターの上に小さな油菓子が整然と並べられています。
三角の袋に入った油菓子は全部で10種類あります。
10種類の味
プレーン、レーズン、ピーナッツ、全粒粉、ごまきなこ、チョコ、黒糖、紅茶、コーヒー、+季節のお好み
この10種類ですが日替わりで提供されているみたいです。
油菓子を守るのは若い美人店長さんでした
もちの木のオーナーさんは、なんと若い女性店長さんでした。
オーナーの名前は、尾﨑友美さんといいます。
笑顔がすてきな美人店長さんでした。
・尾﨑友美店長(もちの木のオーナーです!すごい!!)
尾﨑店長は、パン屋さんを目指して辻製菓専門学校(大阪)に入学します。
卒業後地元(蒲郡市)に戻ってきました。
今後の進路をどうしようか?と考えていた時に、おさないころおばあさんに作ってもらった油菓子のことを思い出します。
最近では、油菓子を知っている人も少なくなっていること残念に想い、油菓子の専門店を作ることを決意しました。
尾﨑店長にとっては、油菓子はおばあさんとの思い出のお菓子だったようです。それを残したい!!との想いから専門店を作ってしまうとは!!結構、大胆というか、使命感のようなものをひしひしと感じました。
その使命感は、もみの木で販売されている油菓子のこだわりの材料を見ているだけで伝わってきます。
こだわりの材料
こだわりの材料は、ミニパンフレットをごらんください。
このなかで注目なのは「愛知県産の小麦粉きぬあかり」と「こめ油」です。
きぬあかりは、愛知県のめん文化に合う小麦として愛知県で生産されています。
愛知県の栽培環境に適し、おいしいめんができる新品種だそうで平成12年から品種改良に取り組んでいた小麦です。
その特徴は、しっかりとしたこしと、もちもちとした食感、明るくきれいな色を作る灰分の少なさだそうです。
製粉協会が実施する[国内産小麦新品種の品質評価]において、「きぬあかり」は、製めん試験を行った小麦新品種の中で、3年連続1位となりました。
まさに麺を作るための小麦ですね。
確かに、もちの木の油菓子は、固いなかにも弾力のある歯ごたえが特徴です。小麦の特徴が出ているのだと感じました。
あと、こめ油の使用も特徴的だと思います。
こめ油の特徴に、
酸化に強い、臭いの発生が少ない、べたつきが少なくサラサラ、食物繊維が多い、こめ油に特徴的な栄養成分”γ-オリザノール”や”ビタミンE”が豊富。
などの多くの特徴があります。
このなかで、”酸化が少ない”は特筆物だとおもいます。
たしかに、もちの木の油菓子は封を開けたときに本当に良い香りが漂います。
油の香りなのですが、嫌な香りがしません。
これには、感心しました。
また、手で持っても余りべたつかないのも特徴です。
これもこめ油の特徴なのだとおもいました。
尾﨑さんがこの油を選ぶ意味がよく分かります。
今回購入した油菓子達
今回は、ミックス袋とチョコ、全粒粉を購入しました。
ミックス袋は500円、チョコと全粒粉は各200円です。(税込)
ミックス袋は、色々な味が入っており、初めて購入するのには良いかもしれません。
今回は、ブドウ、プレーン、抹茶、チョコ、紅茶、全粒粉、黒糖の7種が入っていました。ただ、この割合は均一ではありません。全粒粉とプレーンが多く入っていました。
油菓子はもちの木の紙袋に入れてくれました。
なんともシンプルですね。(笑!)
手提げの紙ひもは、リクエストすると付けてくれますよ!
もちの木の油菓子の食べ比べ感想です。
今回、ミックス袋に入っていた油菓子の食べ比べをしました。
味の感想は私、個人の感想です。
・上段左から:ブドウ、紅茶、プレーン
・下段左から:抹茶、チョコ、全粒粉、黒糖
*全体の感想
封を開けるとバターの香りとこめ油の良い香りが広がります。
食感は固めです。ですが弾力がありますので草加せんべいまでは固くないです。
この辺りは、あげ加減ときぬあかりの小麦の特徴かな?と思いました。
口に含むとよい油の香りと、小麦の香りが口の中に広がります。
全体的に甘さは控えめです。そして揚げ菓子ですがさっぱりとしています。
この味付けは、小麦の風味を楽しめるようにと、数を食べられるようにとの配慮からだと思いました。
*個別の感想
・プレーン味
小麦の味がします。
そして揚げ菓子だと実感出来る油の良い香りが広がります。
ほのかに甘く、くどくないです。
・レーズン味
ブドウの粒が大きく、グミのような食感を与えています。
ブドウの味が優先ですね。レーズンクッキーを思い出しました。
歯ごたえは柔らかい感じです。
・抹茶味
最初にお茶の風味が口の中に広がりました。
咬んでいくと、小麦の味がしてきます。
そして、飲み込むとまた抹茶の風味が少し広がりました。
抹茶の余韻が楽しめました。
・チョコ味
思った以上にビターです。
ほのかに甘い。
かみ砕いていくと、ココアの風味と苦みが口に広がります。
ですが、嫌な苦さではないです。
大人の味ですね。
・紅茶味
本当に紅茶の風味が少しだけします。
ですが、プレーン味と比べるとその風味は全く別物でした。
甘さはほどほどで、プレーン味の次に淡泊な印象です。
・全粒粉味
あらびきの粉を使用。
食感優先です。そして甘くない。
口の中に入れるとほろほろと全体が崩れていく感じがします。
なぜか、プレーンよりも甘さを感じませんでした。
・スタンドがかわいいです!
・黒糖味
口に入れたとたんに、黒糖の味がします。
今回食べ比べた中では、1番甘さがはっきりしていました。(ブドウ味を除く)
かみ砕いていくともっと黒糖の甘さと風味が広がります。
ですが、甘さはくどくなくさっぱりしていました。
職場の同僚に、プレーン味と紅茶味、全粒粉味、黒糖味を食べ比べてもらいました。この4つの中では、この黒糖味が一番良いと評判でした。
一番味がはっきりしているからだと思います。
その他
賞味期限:封を切らなければ約2週間もつそうです。
ですが、なるべく早く食べてくださいとのことでした。
袋ごとに酸化防止剤が入っているので、封を切るまでは風味が保たれると思います。
住所
〒443-0046
愛知県蒲郡市竹谷町横井27
TEL&FAX:0533-69-3015
営業時間:12時~18時
定休日:毎週月曜日と火曜日
たまにイベント出店のため臨時休業があります
臨時休業の情報はフェースブックで確認してください。
もちの木公式フェースブック:
https://ja-jp.facebook.com/mochinoki55/
住所がわかりにくいのですが、JAのガソリンスタンドのすぐ横の道(車が1台通れる道幅です)を入ってください。GSから50mぐらい入ったところにもちの木があります。
・目印のガソリンスタンドです。
このガソリンスタンドのすぐ横の細い道を入った奥にもちの木はあります。
最後に
尾﨑店長が作る油菓子は、素朴というよりも高級菓子のような感じがします。
もっと、素朴な味を!と思わなくはないですが、揚げてから2週間持たせる為の工夫と、風味を追求したらここに行き着いたんだと思いました。
おばあさんの作ってくれた油菓子よりも高級だと思いますが、日持ちのことを考えると現状の高級感がベスト!なのだと思います。
個人的に次は、ねじねじ(お徳用袋)とピーナッツ味を食べてみたいですね。
追記:クッキーもお店に並んでいました。試食しましたがこちらもバターの風味がきいていて、美味しくいただけました。油菓子よりも甘い感じがしました。
それと、新商品としてケーキを作っているとか?
こちらも、さぞ美味しいだろうと思います。
店頭に並ぶのを楽しみにしていますね!
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